女性を笑顔にする、マーケティングのヒント。

今や消費の8割以上の決定権を握ると言われる「女性消費者」から選ばれ、愛され続けるためのマーケティングのヒントをお届けします。

単身世帯と働く女性の増加に目を向けよう。

みなさんこんにちは。ライフスタイルマーケティングの和田康彦です。

 

カルビーは、売上を伸ばしているシリアル食品「フルグラ」に50グラム入りの小袋タイプを追加することを発表しました。1食分の食べきりサイズで、まずは8月7日から首都圏のコンビニエンスストアで発売し、秋には全国に広げる計画です。

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フルグラは、食物繊維を豊富に含み、手軽に食事がとれることから共働き世帯の主婦などの購入が多く、同社の業績を牽引しています。ただ、現在の商品は170~800グラム入りと容量が多く、単身世帯やシニア層の購入が低水準にとどまっているため、今回の小袋タイプの展開で単身世帯やシニア層に多い個食需要の取り込みを加速するのが狙いです。

 

価格は通常の味を1袋78円、糖質を抑えた商品を同90円に設定。おにぎりやパンよりも低価格に設定することで、消費者の乗換えを促進し初年度に約10億円の売上高を目指します。

 

平成27年度に実施した国勢調査結果によると、一般世帯数は5178万7千世帯で前回調査よりも増加しているものの増加率は低下傾向にあります。一般世帯の1世帯当たり人員は2.39人で平成22年の2.46人から減少。一方で世帯人員が1人の単身世帯は1684万5千世帯で、始めて全体の3割を超し(一般世帯の32.5%)、ひとり暮らし世帯が増加していることがわかります。背景には晩婚化、未婚化、高齢者の独り暮らしの増加がありますが、特に増加しているのが65歳以上の単身世帯です。

 

同調査によると65歳以上で一人暮らししている人は562万6千人で65歳以上人口の16.8%を占めています。特に多いのは東京都で65歳以上人口の23.2%が1人暮らしをしています。また男女比でみると男性の1人暮らしは179万7千人(同12.5%)に対し、女性の1人暮らしは383万人(同20%)と、高齢女性の1人暮らし世帯が多いことがわかります。

 

同調査では、20~30代の働く女性が増えていることも明らかになりました。30歳代女性の労働力率は調査以来初めて7割を超して72.4%に増加。また25~29歳女性の労働力率も始めて8割を超えており、M字カーブの底が上昇する結果となっています。

 

このように生活者の家庭のカタチやライフスタイルが大きく変化している中、食品会社は単身世帯や働く女性のニーズを取り込んで新たな市場開拓にしのぎを削っているのです。

 

先のカルビーの他にも、長岡市の越後製菓では、単身世帯を中心に調理の手間が省ける包装米飯の需要が高まっていることから生産量を増やしています。

 

また、はごろもフーズでもツナのブランド「シーチキン」で、小袋タイプの商品を拡充しています。同社は、2016年に数億円を投じて小袋用の包装設備を焼津市の向上に設置し、ツナとマヨネーズを混ぜた商品を販売。同商品が好調なことから品目を拡充し、新たにツナの油漬けタイプと水煮タイプの2商品を発売しました。

 

冷凍食品が主力のニチレイでも、共働き世帯や単身世帯が増えたことで、チャーハンや焼きおにぎりなどの米飯類や夕食向けの惣菜など冷凍食品が好調なことから、2017年3月期の決算では大幅増益になりました。

 

みなさんの会社では、単身者の増加や働く女性の増加による新たな潜在ニーズに目を向けていますか。

単身者や働く女性のニーズに耳を傾けることで、新たな市場を創造していきましょう。