女性を笑顔にする、マーケティングのヒント。

今や消費の8割以上の決定権を握ると言われる「女性消費者」から選ばれ、愛され続けるためのマーケティングのヒントをお届けします。

「素材博覧会」に見る「誰でもクリエイターになれる時代」

みなさんこんにちは。ライフスタイルマーケティングの和田康彦です。

6月10日の日曜日、神戸市のデザインクリエイティブセンターKIITOで開催されていた「素材博覧会~ハンドメイドを楽しむ~」を訪れました。

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糸・布・革・ガラス・石・樹脂・メタル・陶・木・紙などめずらしい素材やツールのブースが神戸KIITOにずらり揃うイベントで、作家・工房が手づくりしたオリジナル素材、ヴィンテージや海外からの掘り出しもの素材、小ロットでオーダーできる素材の制作サービス、メーカーによる新しい素材・制作ツールなどがあり、一般からプロの人までだれでも購入できるというもの。

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会場には100を超えるブースが並び、あちこちで「草を染める体験」や「革ものづくり体験」「繭のいろいろと絹糸作り」などのワークショップが開かれ、たくさんの女性で賑わっていました。

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会場には素材だけでなく、神戸の人気店のお菓子やパン、料理研究家のその日だけのメニューやドリンクなどを販売するフード&カフェブースも充実していて、さながらマルシェに来ているような気分を味わうことができました。

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◆素材ブームの背景には、ハンドメイドアプリの急成長が。
この素材ブームを後押ししているのは、スマートフォンで自分の作品を簡単に出品・販売することができる「minne(ミンネ)」や「Creema(クリーマ)」といったハンドメイド販売アプリの急成長です。

GMOインターネットグループのGMOペパボ株式会社が運営するハンドメイドマーケット「minne(ミンネ)byGMOペパボ(以下、minne)」は、2017年12月22日(金)に、2017年の年間流通総額が100億円を突破。この金額は大規模なプロモーションを開始する以前の2014年に比べると約10倍になります。また、作家数は42万人、作品数760万点、に達しています(2018年4月末時点)。

オンラインでの販売のみならず、2日間で5万2,000人の動員数を記録した大型販売イベント「minneのハンドメイドマーケット2017」をはじめとする、作家による対面販売イベントやワークショップなどを全国各地で開催。また、作家向けの勉強会を開催したり相談を受け付けたりする場として開設したハンドメイドスペース「minneのアトリエ(世田谷・神戸・福岡)」を通じて、ハンドメイド作家という新しい働き方をサポートする取り組みも行っています。この結果、年間販売額100万円以上の作家の数は2017年には1673人と3年前に比べて10倍超に増加。最近ではものづくりのスキルをシェアし、新しい働き方を可能にする「シェアリングエコノミーサービス」としても注目されています。

◆ユーザー目線に立ったサービスの進化こそが、minneの成長を支える。 
私は以前、株式会社千趣会が運営するベルメゾン生活スタイル研究所に所属しており、毎年年末には次年度の生活者予報として「しあわせ予報」を発刊しておりました。2013年12月に発行した「しあわせ予報2014」のテーマは「スマホで変わる、私たちの生活」。スマートフォンとこれからの女性のしあわせについて考察しました。

その中で、女性の暮らしを楽しく豊かにするアプリやサイトを運営される多くの方にインタビューさせていただきました。今回のブログで取り上げたminneもその一つ。他には、今日(2018年6月19日)東証マザーズに上場した「メルカリ」や、日本初のクラウドファンディングサービス「Readyfor」、ニュースアプリの「Smart news」などありますが、4年経った今では日本を代表するベンチャー企業として大きく成長しています。

ところで、minneの生みの親、阿部雅幸さん(現在はGMOペパボ株式会社 minne事業部 部長)は、開発前から手作り作品を売るイベントによく足を運んでいたといいます。当時のインタビューでは「作家さんの名刺やカードをもらうこともあるんですが、販売ルートをネット上に持っていないことが多いんです。ハンドメイド限定のネットショップを作ればそういった作家さんの作品ももっと手に取ってもらえると思いました」と開発のきっかけを話しています。まさにユーザーとしての感覚から生まれたサービスだからこそ、ここまで多くのハンドメイドファンに支持されるサイトになったのだと思います。

「だれでもがクリエイターになれる時代だ」という思いからスタートしたminne。「作品を見て刺激されて、私にも売れるかなと思ってもらえれば」そんな阿部氏のハンドメイド作家を応援する姿勢が、ここまでハンドメイド市場を盛り上げてきた背景にあることは間違いありません。

ちなみに「minne(ミンネ)」は、サービスがスタートした地である福岡の方言「○○してみない?」という意味からきています。「売ってみんね?」「見てみんね?」など、作り手、買い手問わずに思いを表現できる言葉であることからネーミング。この名前にも、阿部氏のハンドメイド作家とハンドメイドファンに対するあたたかな眼差しを感じます。

ハンドメイドアプリやフリマアプリなど、これまでの消費スタイルを激変させた新興企業の新たなサービス。その成功の裏には、常にユーザー目線に立った使いやすさの進化に命を懸ける姿勢が感じ取れます。