女性を笑顔にする、マーケティングのヒント。

今や消費の8割以上の決定権を握ると言われる「女性消費者」から選ばれ、愛され続けるためのマーケティングのヒントをお届けします。

「バルミューダ ザ・ライト」が提供する驚きや感動、うれしくなるような体験価値とは?

みなさんこんにちは。ライフスタイルマーケティングの和田康彦です。
日本の家電の歴史を見ていくと、1953年(昭和28年)、三洋電機が電気洗濯機を発売。その後、昭和30年代(1955年~1964年)には、洗濯機、冷蔵庫、白黒テレビという「3種の神器」が一気に普及しました。続いて、昭和40年代には、3C(カー、クーラー、カラーテレビ)が普及し始め、当時憧れだったアメリカン・ウェイ・オブ・ライフに近づいていきました。それ以降今日に至るまで、家電メーカーは技術革新を繰り返し、より性能の良いもの、より大型のもの、より省エネを実現できるものへとスペックを進化させてきました。つまり、家電製品は不便さを解消することで私たちの生活に役立ってきたわけです。しかし、生活が十分に便利になった今、生活者が家電に求めることは変化してきています。

2015年にバルミューダが発売した「バルミューダ ザトースター」は、2万円以上もする高価格にもかかわらず、独自のスチームテクノロジーと温度制御により、窯から出したばかりの焼きたての味を食べられるという評判を呼び大ヒット。また、独自の技術によって自然界の風を再現する扇風機「The GreenFan」は、夏の午後を吹き抜ける心地よい風を体験できるとあって、こちらも3万円台の高価格にもかかわらず話題の商品になりました。

バルミューダは、2003年、代表の寺尾玄氏が設立したクリエイティブとテクノロジーの会社。同社のミッションは「自由な心で夢見た未来を、技術の力で実現して人びとの役に立つ」。新しい考え方で、これまでになかった価値を持つ家電をつくっていくことを目指しています。寺尾氏は、「現代を生きる私たちが道具やサービスに求めているのは、驚きや感動、うれしくなるような体験なのだと思います。バルミューダは家電という道具を通して、心躍るような、素晴らしい体験を皆様にお届けしたいと考えている企業です。」と語っています。

さて、その「バルミューダ(BALMUDA)」から、子どもの目を守るためのデスクライト“バルミューダ ザ・ライト”が発売されます。製品は既存のキッチンシリーズ、空調シリーズに次ぐ3つ目のカテゴリーになります。

f:id:happymk:20180907131536j:plain

文部科学省の学校保健統計調査(2017年度)によると、近年の子どもの視力低下は著しく、2017年には裸眼視力が「1.0未満」の小学生の割合は32.5%と過去最高に。従来の原因にくわえ、タブレットやスマホなどのブルーライトを発する光を長時間見ることも一因と考えられ対策が必要とされてきました。

誰しも、デスクに向かい集中していると徐々に姿勢が悪くなりますが、特に大人に比べ背が低い子どもは目線が低く、とりわけ下方向が見えづらい傾向があります。そのため、手もとをよく見ようと頭を下げ、ますます視界は狭くなりさらに、上方からの照明の光による自身の頭の影が手もとを暗くしてしまいます。バルミューダ ザ ライトは、この視界と姿勢の関係性に着目。子どもの視界に最適な光で照らすフォワードビームテクノロジーを手術灯で国内シェアNo.1の山田医療照明と共同開発。離れた場所から広く手元を照らし、子どもの目線の先に影を作らない光を実現しました。

さらに、デスク上でも青空の下で見るような本来の色を再現する太陽光LEDを採用。太陽光の波長に近い太陽光LEDは、ブルーライトのピーク波長が一般的な白色LEDライトの約半分。自然光のように目に優しい光で、子どもの目の疲労を抑え、集中を妨げないことが特徴で、成長期にある子供たちの目に優しい理想的な光だそうです。

さらに、もう一つの特徴がそのデザインで、あえてシンプルな見た目にすることで照明台に文房具を刺したり、シールを自由に貼ることができるような遊び心を取り入れています。ライトの操作音はピアノ音。“90%までのデザイン”をテーマにし、最後の10%は子どもたちが自由にデザインできる余白としたとのこと。

価格は3万7000円。9月6日に予約を開始し、発売は10月下旬を予定。9月11日から松屋銀座の直営店で先行展示を行う他、“目のケア”に取り組む「ジンズ(JINS)」渋谷店でも10月8〜14日に体験会を実施。
 
寺尾玄・社長は制作背景について、「われわれはクリエイティブとテクノロジーの会社。クリエイティブで夢見た未来をテクノロジーで実現したいと思っている。自宅でいつも息子が机に顔を近づけて絵を描くたび、前かがみになって目が悪くならないかと心配していた。子どもが前かがみになるのは、大人と子どもの視界が異なるから。子どもたちが自由に夢を見られるために、前かがみにならずに絵を描くことができるライトを作りたいと考えた」と語っています。

開発に着手したのは2014年。ヒット商品となった「バルミューダ ザ・トースター」よりも先に動き始めていたプロジェクトなので、かれこれ4年を費やした思い入れの強い商品だということがわかります。この開発にかける熱い想いとテクノロジーの融合が、バルミューダ流イノベーションのベースになっているのだと思います。

来年以降、照明カテゴリーでのさらなるラインアップを予定。同社の2017年度の売り上げは89億円で、今年度は100億円以上を計画しています。