女性を笑顔にする、マーケティングのヒント。

今や消費の8割以上の決定権を握ると言われる「女性消費者」から選ばれ、愛され続けるためのマーケティングのヒントをお届けします。

「楽しい」「面白い」が私たちの行動を変える「ファン・セオリー」とは?

みなさんこんにちは。ライフスタイルマーケティングの和田康彦です。
昨日から始まった10連休。みなさんはどのようにお過ごしですか。旅行やアウトドア、テーマパークや動物園など、楽しくて面白いことを求めて行動されているのではないでしょうか。必要なものはほぼ満たされた現代、生活者が求めているものはまさに「楽しさ」や「面白さ」といったワクワク感やドキドキ感ではないかと思います。「モノ消費」から「コト消費」や「トキ消費」への流れも、人びとが「楽しさ」や「面白さ」を求めていることが背景にあります。このように、生活者の行動を変えるマーケティング活動において、「楽しさ」や「面白さ」を提供することはますます重要になってきているといえます。

ところでみなさんは電車に乗るときや降りた後、階段を使いますか、それともエスカレーターを使いますか。ほとんどの人は、エスカレーターを選んでいるのではないでしょうか。中には、健康のため階段を使う、という人もいるかもしれませんが、おそらく少数派ですね。
そこで「どうやったら駅の利用者はエスカレーターではなく階段をもっと使ってくれるだろうか?」というプロジェクトが、2009年にスウェーデン、ストックホルムにあるodenplan駅で行われました。

何はともあれこちらの動画をご覧ください。

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いかがでしたか?動画を見れば一目瞭然ですね。階段をピアノの鍵盤に見立てて、階段を上がると音が奏でられるようにした結果、なんと普段より66%も多くの人がエスカレーターではなく階段を利用するようになったといいます。

このプロジェクトを仕掛けたのは、世界を代表する自動車ブランド、フォルクスワーゲンです。上記の動画はフォルクスワーゲン・スウェーデン社が提唱する「ファン・セオリー」というプロジェクトの一環として行われた実験で、「ファン・セオリー」とは、一言でいえば「楽しさ」こそが人々の行動を変える一番シンプルで簡単な方法だ、という考え方のことを指します。こうしたアイデアを紹介する同社のウェブサイトには、ほかにも以下のような事例が掲載されていますのでいくつかご紹介します。

◆近くにあった普通のゴミ箱の2倍近い、72kgものゴミを集めることに成功したアイデア。

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ゴミ箱が置いてあってもポイ捨てがなかなかなくならないのは、ゴミをゴミ箱に捨てに行くのが面倒と思っている人が多いから?であれば、ゴミを捨てに行くのが楽しくなるようなゴミ箱を作ってみよう!そんな発想から生まれたゴミ箱がこれです。どこにでもあるサイズのゴミ箱ですが、捨てられたゴミは、なんと50フィートもの距離を落下する(という音が鳴る)仕掛けです。ゴミを捨てた人々は、延々と鳴り続ける落下音にぎょっとしていますが、結果として近くにあった普通のゴミ箱の2倍近い、72kgものゴミを集めることに成功しました。

◆シートベルトの着用率を高めるアイデア

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シートベルト着用が交通事故時の死亡率を大きく下げることは誰もがわかっていることですが、面倒くささがベルトの着用を遠ざけています。特に後部座席の着用はあまり進んでいません。そこで考えられたのがこちらのアイデア。映画などを楽しめるディスプレイが後部座席に設置されていますが、そのままでは動作しません。シートベルトを締めることによって初めて、動作する仕組みになっているんですね。とても単純なアイデアですが、シートベルトの着用率が上がることで交通事故時の死亡率が下がるとなれば、大きなイノベーションだと思いませんか。

「エスカレーターよりも階段を利用しましょう」「ゴミはゴミ箱へ捨てましょう」「シートベルトは必ず締めましょう。」こうした啓蒙活動も重要ですが、それよりもずっとスマートに、効果的に人の行動を左右する可能性を秘めているのが、今回ご紹介した「ファン・セオリー」です。これからの商品やサービス開発、新しい広告やキャンペーン、集客などを考える際には、この「楽しそう」「面白そう」というアイデアをぜひ取り入れていきましょう。

 

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