女性を笑顔にする、マーケティングのヒント。

今や消費の8割以上の決定権を握ると言われる「女性消費者」から選ばれ、愛され続けるためのマーケティングのヒントをお届けします。

人びとの欲求やニーズを理解することが、ライフスタイルマーケティングの起点

みなさんこんにちは。ライフスタイルマーケティングの和田康彦です。

みなさんは、「衣食住遊休知美健交」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「衣食住」までは誰もが聞いたことがあると思いますが、遊休知美健交も含めて9つの生活分類で人々のライフスタイルの変遷や実態、その背後にあるニーズを見ていくとわかりやすいと思います。つまり、ライフスタイルを具体的にイメージしていくうえでのフレームと考えてください。

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衣は、衣生活つまりファッションです
食は、食べることですね
住は、住まい方や暮らし方
遊は、レジャーや趣味の楽しみ方
休は、休みの日の過ごし方
知は、知的好奇心を満足させる生活
美は、美しくなること
健は、健康づくり
交は、交流つまり人と人のつながりや絆ですね

ライフスタイルという抽象的な概念を、衣食住遊休知美健交という具体的な生活分類に分解して見ていくことでライフスタイルについての理解が深まりやすくなると思います。

◆人びとのライフスタイルに変化を及ぼす要因

ところでライフスタイルの変化にはどんなことが影響しているのでしょうか。
まず重要なのは社会環境の変化です。これには自分自身の環境の変化も含まれます。例えば、社会人になって一人暮らしを始めたということや東日本大震災のような大きな天災を経験することで、人びとの意識や価値観は大きく変化します。その結果、欲求やニーズが変化することで毎日のくらし方にも変化が現れるのです。そしてもう一つ、テクノロジーの進化が人々のライフスタイルに大きな影響を及ぼしています。例えば洗濯機の進化により洗濯スタイルは大きく変化してきました。また2008年にアイフォンが日本で初めて発売されましたが、その後の10年間の人々のライフスタイルの変化には目を見張るものがあります。

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◆マズローの欲求5段階説とライフスタイルの変化

ところで、これまでに聞いたことがあるかもしれませんが、アメリカの心理学者、アブラハム・マズローは、欲求5段階説というものを発表しています。この考え方は、人間の欲求というものは5段階のピラミッドのように構成されていて、低階層の欲求が満たされると、より高次の階層の欲求を欲するとされる考え方です。

こちらの図をご覧ください。まず、生きていくための基本的・本能的な欲求(食べたい、飲みたい、寝たいといった生理的欲求があります。

次に危機を回避したい、安全・安心な暮らしがしたいという安全の欲求、そして集団に属したい、仲間が欲しい。という社会的欲求が続きます。その上が「他者から認められたい、尊敬されたい」という尊厳の欲求、そしてさらにその上が自分の能力を引き出し創造的活動がしたいと言いう自己実現の欲求が続いています。

さらにマズローは晩年になって「自己超越の欲求」を追加しています。これは、見返りも求めずエゴもなく、自我を忘れてただ目的のみに没頭し、何かの課題や使命、職業や大切な仕事に貢献している状態のことを指します。

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◆ニーズの変化とライフスタイルの変化

次に「ニーズ」についても基本的なことを学習しておきましょう。企業の中で仕事をしていると、消費者ニーズを調査するとか、消費者ニーズが多様化している、この商品には、ニーズがあるの?消費者のニーズに応える商品、消費者の潜在ニーズを引き出すといった言葉が日常茶飯事のように出てきます。つまり、ニーズというのはマーケティングや経営を考えていく、或いは提供価値ということを考えていくうえでの起点であり、一人一人のライフスタイルを形成するうえでの起点とも言えます。

ニーズとは、必要、欲求、要求、需要・現状に対する満たされない感情・人間や集団が持つ欠乏感のこと、必要なものを求めている状態であり、私たちの行動の動機づけとなる貴重なものです。

そして、私たちがふだんからよく使っている「価値」という言葉の概念と「ニーズ」には密接な関係があります。つまり「価値」という言葉を定義すると「相手のニーズを満たす自分の働き」ということであり、みなさんひとりひとりの価値というものも、相手のニーズを満たしてあげることで初めて認められるものなのです。

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友人が悩んでいるとき、親身になって相談にのってあげることで友人のキモチが晴れやかになったとしたら、その友人にとってあなたという存在は価値ある人間としてますます好きになってもらえるかもしれません。

◆潜在ニーズの読み取りでこれからのライフスタイルを予測する

そしてニーズには消費者がすでに自覚していて企業側もすでに掴んでいる顕在ニーズと、消費者がまだ自覚しておらず、しかも企業側も気づいていない潜在ニーズがあります。つまりこれから先のライフスタイルを予測していくためには、潜在ニーズをいかに読み取っていくかということが非常に重要になってきます。

◆BEニーズ、Doニーズ、Haveニーズの関連性

もう一つ、ちょっとややこしくなってきたかもしれませんが、BEニーズ、DOニーズ、Haveニーズについても理解しておきましょう。この考え方は商品やサービスを開発していく際に非常に役立つと思います。

まずBEニーズですが、こちらは生きていくうえでの基本となるニーズです。人生ニーズとも言い、先ほど説明しましたマズローの欲求5段階説にも共通するところがあります。
豊「豊かな人生」を送りたい
尊「認められる人生」を送りたい
向「自分を高める人生」を送りたい
愛「愛されて生きる人生」を送りたい
元「元気な人生」を送りたい
自「自分らしい人生」を送りたい
感「心ときめかせる感動の人生」を送りたい
楽「楽しく、楽な人生」を送りたい
快「快適な人生」を送りたい
交「仲良く、心温まる人生」を送りたいという10のBEニーズがあります。

そしてそのBEニーズを実現するために、行為・生活ニーズといわれているDoニーズ
そしてその下に対象・所有ニーズといわれるHaveニーズがあります。

具体的に説明しますと
元気な人生を送りたいというBEニーズを達成するために、例えば、ウォーキングをしたいというDOニーズが生まれます。そして次にウォーキングをするために歩きやすい靴がほしいというHaveニーズが生まれるという関連性です。

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ライフスタイルマーケティングを推進していくうえでは、人間が持つ欲求やニーズはライフスタイルを具現化していく源泉になりますので、これから人々は、どんな欲求やニーズが強まっていくのだろうかということをいつも考えていくことがとても大切です。