女性を笑顔にする、マーケティングのヒント。

今や消費の8割以上の決定権を握ると言われる「女性消費者」から選ばれ、愛され続けるためのマーケティングのヒントをお届けします。

難民支援できる「六花亭」のチャリティーチョコレートが人気の理由

みなさんこんにちは、ライフスタイルマーケティングの和田康彦です。

1995年に発生した阪神・淡路大震災から今日で丸23年が経ちました。

亡くなられたたくさんの方に、心からご冥福をお祈りしたいと思います。

 

その後、2011年3月11日には東日本大震災、2016年4月14日には熊本地震と次々に大きな地震が発生し、その都度、被災地を応援する人の輪も大きく広がっています。

特に東日本大震災では、被災地の商品を購入することで産業の復興を支援する「応援消費」の輪が大きく広がり、これを契機に生活者の間に、社会貢献意識が徐々に浸透してきているように思います。

ただ、社会に何かよいことを実践したいと思っていても、実際に何をどうすればよいかわからない生活者も多いのではないでしょうか。

 

◆六花亭×国際NGO バレンタインはチョコレートで難民支援

国際NGO・AAR Japan[難民を助ける会]では、2011年10月から北海道の菓子メーカー「六花亭製菓」と協力して、『チャリティ・チョコレート』を販売。発売以来、「ちょっとした買い物が、誰かの支援になるならうれしい」「おいしくて、かわいい」と話題になっているようです。

 

純益(1箱あたり約200円)はすべて、AARが世界16ヵ国で行っている支援活動に活用。チョコレート10箱の純益で、シリア国内で避難生活を送る1家族(3~4人)に約1週間分の食糧を届けることができ、3箱でバングラデシュのキャンプで暮らすミャンマー避難民に毛布を1枚届けることができます。累計販売数は9万個を超え、ロングセラー・ベストセラー商品に育っています。

 

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六花亭製菓株式会社製造のミルクチョコとホワイトチョコの2種類。4枚入り各550円(税込)

AARオンラインショップ

http://www.aarjapan.gr.jp/support/shopping/chocolate/

 

「おいしくて、かわいくて、その上誰かの役に立つ」。チャリティー-チョコレート人気の背景には、どうせお金を払うなら、社会貢献出来たり、環境や生産している人にも優しいものを買いたい。そんな生活者の気持ちを上手く捉えているからだと思います。

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 AARでは品質の検査を行った米、小麦粉、豆類、油など、シリア人の食生活に欠かせない17品目の食糧を食糧不足に苦しむシリア国内の人々に配付している

 

◆徐々に広がりを見せる「エシカル消費

みなさんは「エシカル消費」ということばを聞いたことがありますか。エシカルとは「倫理的な」という意味の英語で、自分の欲求だけでなく、地球環境や社会貢献などに配慮したモノやサービスを積極的に消費する行動のことをいいます。

 

自然保護や省資源など環境保護に役だてようとする「エコ消費」、健康で持続的な社会を目ざす生活スタイル「ロハス」、搾取しないために途上国商品を適正価格で購入する「フェアトレード」、社会的弱者の支援につながる「チャリティー消費」、地域活性化の一助となる「地産地消」、環境や人権に配慮しない企業の商品を排除(ボイコット)するという回避行動も含めてマーケティング用語として「エシカル消費」ということばが使われています。

 

もともとは1990年代後半にイギリスで発達した概念ですが、日本では2007年に輸入水を販売する会社が「ボルヴィック」の売上高の一部をユニセフ(国連児童基金)へ寄付するキャンペーンを展開したことで、エシカル消費の概念が広まりました。その後、2011年の東日本大震災後には、ボランティア活動を組み込んだ旅行商品や、義援金付き預貯金などのエシカル商品が次々と登場して、エシカル消費の流れは徐々に根付いてきました。

 

このように持続可能な社会を実現していくために、生活者の意識や価値観は徐々にですが「ソーシャル」な方向に向かいつつあるといっても良いと思います。一部の企業では、これまでの売上や利益だけの追求から社会課題を解決しながら利益を上げていく方向性にシフトしています。そんな流れの中で、企業も生活者も一緒になって社会貢献できる仕組みづくりは、企業にとっても生活者にとって社会にとってもうれしいと取組みになるのではないでしょうか。まずは、たいそうに構えるのではなく、それぞれの企業や生活者が手軽にできることから始めていけばよいと思います。