女性を笑顔にする、マーケティングのヒント。

今や消費の8割以上の決定権を握ると言われる「女性消費者」から選ばれ、愛され続けるためのマーケティングのヒントをお届けします。

「ライフスタイル」って何ですか?①スマホによるライフスタイルの大変革。

みなさんこんにちは。ライフスタイルマーケティングの和田康彦です。
今日からは「ライフスタイル」について理解を深めていただくための話をしていきたいと思います。

◆スマホの登場によって、私たちのライフスタイルは大きく変わった。
アップルのスティーブジョブズ氏が最初のiPhoneを米国で発売したのが2007年、翌年2008年に日本でも発売されました。今年は2018年ですから、スマートフォンが私たちの生活に入り込んでまだ10年とまだ歴史は浅いことがわかります。ただ、この間の世の中の変化や私たちのライフスタイルの変化には目を見張るものがあります。

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私が以前に所属していました千趣会のベルメゾン生活スタイル研究所では、毎年年末に次の年の女性のライフスタイルを予測する「しあわせ予報」というレポート誌を発行していました。

2013年末に発行したしあわせ予報2014では「スマホで変わる、私たちの生活」というタイトルで、スマートフォンの登場によって30代~40代女性のライフスタイルがどんな風に変化したかを調べました。

その中の代表的な生活スタイルの変化を見ていくと、4年経った今では当たり前のことばかり、つまり生活スタイルとしてしっかり根付いていることばかりです。

◆スマホによるライフスタイルの大変革 ①写真ライフ
まず、スマホの登場によって、人々の「写真ライフ」が大きく変化しました。まず、デジカメを使わなくなったという人が大幅に増加し、いつでもどこでも気軽にスマホで写真を撮る生活が日常になりました。それまでは、写真といえばデジカメで撮ることが当り前でしたから、まさに写真革命といえます。

また、今ではすっかり日常の風景になりましたが、「料理」や「スイーツ」などを撮影する女性があちこちで見られるようになりました。これもスマホの登場以前はあまり見られなかった光景です。

そして、撮った写真は友人や知人に送ったり、SNSで共有するというこれもまた新しい写真の楽しみ方やコミュニケーションのスタイルが生まれてきたわけです。

また、画像修正アプリの登場によって、これまではプロに頼まなければいけなかった画像修正も簡単にできるようになり、写真の楽しみ方が大きく広がりました。

当時のコメントを見ても「見て楽しむだけでなく、記録するために写真を残すという意識に変わった45歳、パート」、「SNSへ投稿する楽しみが増えた30歳 専業主婦」「ちょっとした日常を友人と共有することができるようになった38歳 会社員」「素人でも編集アプリで可愛く、プロ並みに加工できるので、写真を撮るのが楽しくなった36歳 会社員」、「その日に撮ったベストショットをコラージュにして思い出にしている31歳 専業主婦」」などの声を聞くことができ、スマホの登場によって写真の楽しみ方が大きく変化したことがわかります。そしてスマホの登場によって、デジタルカメラの需要が激減するという消費スタイルの変化をも生み出しました。このように、ライフスタイルの変化が消費スタイルの変化に密接に結びついていることをしっかり理解しておきましょう。

◆スマホによるライフスタイルの大変革 ②コミュニケーションスタイル
次に、こちらも今ではすっかり当たり前の光景になりましたが、人と人とのコミュニケーションのスタイルがスマホの登場によって大きく変化しました。それを媒介したのがソーシャルネットワーキングサービスといわれるSNSの登場です。フェイスブックもツイッターもの日本での公開は2008年、ラインは東日本大震災後の2012年、インスタグラムは2014年とどれもがまだ10年以内のサービスにも拘わらず、全世界で多くの人が利用し、毎日のコミュニケーションに革命をもたらしました。

具体的には「小・中・高の同級生と連絡をとるようになり、同窓会へ行ったり会って遊ぶようになった。36歳 会社員」「ちょっとしたことでサークル仲間とコミュニケーションが増え、集まる機会が増えた。38歳 会社員」「こまめに家族と連絡を取るようになった。40歳 会社員」「LINEやFBで気軽にやり取りでき、特定個人だけではなくみんなに自分のことを伝えることができる。33歳 パート」「大きな画像もそのまま送れるので頻度が増えた。34歳 専業主婦」といったような声が聞かれました。このようにスマホの登場によって私たちのコミュニケーションは、古い友人など関係が遠い人とも再びつながれるようになり、人を気軽に誘えるようになり、いつも人とつながっているような感覚を持つ人が増え、面と向かって話しにくいことでも、気軽にやり取りできるようになり、家族の安否確認がしやすくなって余計な心配をしなくて済むようになるなどスマホの登場によって私たちのコミュニケーションスタイルが大きく変化したことが理解できます。

今や「インスタ映え」や「フォトジェニック」という言葉を聞くのが普通になりましたが、インスタグラムの登場によって、例えばスィーツは美味しいだけでなく、チャーミングな見栄えという新たな価値を付加しないと今や売れにくい時代になりました。このように、SNSの登場は、消費のあり方にも大きな変化をもたらしたことがお分かりいただけると思います。

◆スマホによるライフスタイルの大変革 ③買い物スタイル
さらにスマートフォンの登場によって買い物のスタイルも大きく変わってきました。
経済産業省の電子商取引に関する市場調査結果によると、国内のB2C電子商取引の市場規模は、2010年の7兆7880億円から2016年には、15兆1000億円(前年比9.9%増)へと急拡大していることがわかります。全ての商取引金額(商取引市場規模)に対する、電子商取引市場規模の割合(EC化率)も10年の2.84%から5.43%へと拡大。物販分野における2016年度のスマートフォン経由のB2CECの市場規模は、5697億円増の2兆5559億円(前年比26.7%増)となり、物販B2CEC市場規模8兆43億円の31.9%を占めるようになっています。野村総合研究所では、B2CEC市場規模は2021年には25兆6000億円にまで成長すると予測。スマートフォンの普及に伴い、時間や場所を問わずにECを利用できるようになったことが市場の成長を後押ししています。

EC拡大の背景には、スマートフォンの普及によって、いつでもどこでも買い物ができ、お店に行く時間やテマ、交通費が節約できること、店舗よりも価格が安く、無料や安い送料で届けてくれるアマゾンや楽天のようなECプラットフォーム事業者が存在感を高めてきたこと、店舗販売を生業としていたブランドや企業がこぞってECに進出してきたことなどがあげられます。お値打ち感のみならず、「タイムイズマネー」、つまり買い物する時間も節約できるエコノミーなショッピングスタイルが現在の生活者の節約ニーズを満たした結果といえるでしょう。

◆スマホによるライフスタイルの大変革 ④シェアリングサービスの登場
そして、この流れは、メルカリに代表される「フリマアプリ」の大躍進やカーシェアに代表される「シェアリングサービス」の普及につながってきています。先ほどの経済産業省の電子商取引に関する市場調査結果によると、
2012年に誕生したフリマアプリの市場規模は2016年には3052億円へと急成長しており、今後も大きく伸びていく可能性を秘めています。最大手のメルカリの2016年6月期(15年7月~16年6月)の売上高は122億5600万円(前期比189%増)、営業利益は32億8600万円(前期は11億400万円の赤字)。売り上げが前年から大きく伸びた上、13年の設立から初めて黒字化を果たしており、月間の流通額は100億円以上と推定されています。

またタイムズカープラスに代表されるカーシェア大手5社の2016年1~3月の集計によると、総車両台数は18,115台でうなぎ上りに増加。これによって売り上げ規模も2020年には2014年の倍の295億円に成長していくことが見込まれています。米国ではライドシェアの「uber」や民泊の「airbnb」が急躍進を見せており、この流れは今後日本でも現実味を帯びたものになっていくでしょう。

またスマホの普及によって、「お店に行く前に商品の情報を集める」「セールの案内を事前に確認する」「テレビで気になった商品はすぐに検索する」「クーポンを探してからお店に足を運ぶ」「商品の最安値を調べる」「レビューの評価を確認して買う」「ネットチラシを確認する」「店で商品を見ながらネット検索して買う」という人が増え、よりお得で安心できる買い物にシフトしていることがわかります。

これによってアマゾンや楽天市場といったECプラットフォームの取り扱い金額は急拡大を遂げ、今では私たちの生活になくてはならないインフラにまで普及しています。また、これまでは試着しないと買うことが難しいとされていた洋服もZOZOTOWNといった新しいファッションサイトの登場によって今やすっかり私たちの生活に根付いてきました。ZOZOTOWNにつきまして後日事例研究でしっかり見ていきたいと思います。

◆スマホによるライフスタイルの大変革 ⑤家事スタイル
その他、女性の家事面では、レシピを検索して料理に生かしている女性が大幅に増えました。最近では動画料理アプリも大人気で、女性の料理スタイルを大きく変えています。具体的な声としては、「ユーチューブで動画を見ながら楽しく家事している。35歳 会社員」「レシピを印刷しなくてよくなったので時間がない時に助かる。38歳 専業主婦」「スマホ家計簿は付けやすく、節約を心掛けるようになった34歳 会社員」「買い物リストやTO DOリストをスマホで。家事が計画的になった。45歳 パート」といったコメントが聞かれ、スマホの登場によって、女性の家事スタイルも大きく変化してきていることがわかります。

◆スマホによるライフスタイルの大変革 ⑥育児スタイル
また育児面でも変化が見られます。「離乳食のレシピを調べる」「知育アプリを使う」「しつけアプリを使う」「子供の成長日記をつける」「子供の宇健康管理に利用する」「読み聞かせアプリを使う」などスマホを活用することで「育児ストレス」が低減する効果がみられているようです。「離乳食をつくるとき、ふと疑問の思ったことを検索。本を買わなくなりました。32歳 会社員」「外出先にもっていくおもちゃ代わりになり、荷物が減って便利になった。37歳パート」「予防接接種スケジュールやちょっとした心配をすぐに調べて解決できるので、心配事が減った。30歳 主婦」「おむつ替えや授乳できる場所を検索できるので出かけやすくなった。40歳 専門職」「常に携帯しているので、子供の決定的瞬間を逃がさない。ジジババ主人に送って会話が増えた。32歳 会社員」といったように女性の育児面でのスマートフォンの登場によって大きく変化しています。

以上みてきたように2008年のスマートフォンの登場以降、私たちの生活スタイルはあらゆる面で大きく変化してきました。それによって、新たなビジネスが成長したり、これまでの需要に陰りが見えるジャンルが生まれたり、といった生活者のライフスタイルの変化以外にも、ビジネス界にも大きな影響を及ぼしていることがお分かりいただけたと思います。ですから、人々のこれから先のライフスタイルを想像し、予測していくことで大きなビジネスチャンスに出会えるチャンスが舞い込んでくるのです。


「スマホで変わる、私たち生活」では
スマホの登場によって誕生した新たなサービスも取材しました。その中でもハンドメイド作品の販売サイト「ミンネ」、スマホ向けのフリマアプリの「メルカリ」、日本初のクラウドファンディングサービス「レディーフォー」、無料通話アプリ「ライン」、ニュースアプリの「スマートニュース」など、スマートフォンの登場によって私たちの生活をがらりと変えるサービスは4年後の現在、私たちの生活になくてはならない存在にまで成長しています。

◆スマホの登場によって生まれたサービス ①ハンドメイド作品売買サイト
ハンドメイド作品の販売サイト「ミンネ」は、2012年1月にWEBサイトとしてスタート。同年10月にiPhoneアプリをリリースしました。手作り品に限定したオールジャンルの販売サイトで、現在の作家登録数は37万人。500万点の手作り作品が出品されています。サービス名の由来は事業本部がある博多の方言「~してみんね。」だそうです。ハンドメイドの作品サイトには「クリーマ」や「イイチ」もあり、スマホの登場によって、これまでになかった新しいビジネスモデルが生まれました。

◆スマホの登場によって生まれたサービス ②フリマアプリ
みなさんの中にも利用されている方も多いのではないかと思いますが、フリマアプリの「メルカリ」は2013年7月リリースと後発ながら、今や月間の流通金額が100億円以上と驚くような躍進を遂げています。私も利用者の一人ですが、商品撮影から出品、買い手とのやり取りまでスマホひとつで完結する手軽さと、支払いは事務局を経由する安心感、そして配送のしやすさが支持されている理由です。今では日本国内だけでなく、アメリカやイギリスでもサービスを展開しており、累計のダウンロード数は1億を超えています。

◆スマホの登場によって生まれたサービス ③クラウドファンディング
クラウドファンディングサービスの「レディ・フォー」がスタートしたのは2011年3月。設立者の米良はるかさんがクラウドファンディングに目をつけたのは、2009年。大学4年生の時でした。ネットによって個人がフラットにコミュニティを作り活躍する時代になった時、」何かを始める人たちが支えあう場を作りたい。そう思ったのがきっかけだったといいます。夢を実現したい実行者がSNS等のインターネットを通じて不特定多数の支援者から必要な資金を提供してもらえるようなプロジェクトをつくるサービスです。

◆スマホの登場によって生まれたサービス ④無料通話アプリ
こちらも今やなくてはならないものになりましたが、全世界の月間アクティブユーザー数は2億1,700万人以上(参照元:LINE 2017年2月-2017年9月媒体資料)国内の月間アクティブユーザー数は7,300万人以上(参照元:2017年12月期通期決算説明会)といわば空気のような存在になっているLINEの誕生は、東日本大震災後の2012年になります。震災時の経験から、

◆スマホの登場によって生まれたサービス ⑤ニュースアプリ
スマートフォンの登場により、毎日のニュースも新聞やテレビを見なくても手軽に見ることができるようになりました。スマートニュースはその先駆的な存在です。スタートは2012年、ツイッターで話題になっているニュースを元に情報を配信するのが特徴です。スマートフォンのニュースアプリの登場によって、ニュースはマスコミが流す時代から一般の人々の目を通して広がっていく時代へと移り変わってきました。

以上、スマートフォンの登場によって、私たちのライフスタイルが大きく変化してきたいくつかの事例を見てきましたが、このほかにも電子書籍の普及や電子商取引など、変化したことはいくつもあります。そして現在もIoTやAIといった先端技術の開発によって、私たちのくらしはどんどん便利になりつつあります。このように、テクノロジーの進化が私たちのライフスタイルを大きく変化させる引き金になっているのです。

つまり、これからの時代は特にテクノロジーの進化によって私たちの生活スタイルがますます大きく変化していくことが予測されます。そのためにも、自分の専門以外の情報にもアンテナを高く張っておくことが重要です。